美術茶論

click!network:
ライブギャラリーBe.Too
第69回ベスト10発表

click!net
2003年11月24日〜12月14日

ぺっこり夢 2003/11/24/〜2003/12/14投票順位 

順位
作品ナンバー
作品名
会員名
レイティング
展示数
選出数
1
0299-0036-04
 幻想メリーゴーランド
 北野 玲
12.4
11
11
2
0099-0009-68
 はじめまして  日南田 淳子
10.7
5
3
3
0299-0030-01
 D公園にて  開楽 智治
10.6
22
11
4
0099-0009-66
 夏のおひるね  日南田 淳子
9.8
5
2
5
0199-0023-06
 Holly Snow  宇多川 友恵
9.7
1
1
6
0099-0002-120
 顔のある風景 ニコリンネ  佐藤 隆俊
9.3
16
9
7
0099-0009-69
 空があおいね・・・  日南田 淳子
8.2
5
1
8
0299-0026-11
 沈める睡り  夜舟
8.1
14
3
9
0199-0021-57
 柿の実食べよう  荒木 陽子
7.0
3
1
10
0099-0037-29
 フラワー  高野 洋実
6.3
20
5

●○全体の動向○●


2003年もアッという間に過ぎて、次の展示は新年にかかってしまいます。

さすがに冬らしくなって来ましたが、例年に比べると寒さが厳しいと言う感じはしません。やはり地球の温暖化の影響なのでしょうか、今ひとつ季節感がはっきりしないまま、今年も終わろうとしています。
今回は、日南田さんの作品が3点、ベスト10に入りました。3点とも冬のイメージはなく、そのうちの「夏のおひるね」はタイトルからして夏らしい作品です。
日南田さんの「ちょろぴ」は、キャラクターとしての認知が定着してきたので、ゼネラルイメージになった「今年もよろしく」の場合は、この作品とは逆に冬のイメージが夏でも支持を続けていたので、季節と作品の内容とは必ずしも評価と一致するものではありません。

ただ、クリスマスやお正月などは、どうしてもその時期が過ぎると得票が難しく、入れ替えとなってしまいます。そのためにシーズン行事をテーマにした作品は、ゼネラルイメージにはなりにくい。これもまた展示方法の課題ですね。

今回は投票の男女比は1:4となり、いつもより男性層が弱い比率でした
これから忘年会のシーズン、第70回の展示でも男性層の伸びはあまり期待できそうもありません。(笑)

今回は前回予想した通り、開楽さんの「D公園にて」と北野さんの「幻想メリーゴーランド」がゼネラルイメージとなり、常設展示に移りました
同じ時に、2つのゼネラルイメージが選ばれるのは初めてのことです。

新しく参加された会員の作品への投票は、やはり息切れの状態で連続してベスト10に入ることはできなかったようです。

逆に日南田さんのようにベテランへのサポーターが巻き返し、裾野の広がりを印象づけた感があります。
サポーターの力でゼネラルイメージになっても、新作が続かないとその力が持続しません。
それに応えるためには、新しい作品を見せてゆく力とともに、やはり作品をギャラリーだけでなく世に出してゆくことが必要だと思います。
click!networkは作家である会員たちが運営しているので、企業のような営業は考えていませんが、そろそろ積極的に何らかの働きかけも必要な時期にきているようです。

そこで来年は、2月のギフトショーにclick!networkも参加することにいたしました。
次回は新年のご挨拶で、その方向性など触れたいと思います。



●○個別作品の印象○●

北野さんの「幻想メリーゴーランド」が、1位となって予想通り最短でゼネラルイメージになりました。
幅広い活動をされている北野さんですが、サポーターの中心は女性層で、繊細な画風が支持されているようです。
この作品はCGで描かれていますが、それを感じさせない自然な表現になっています。
一般にCG作品は、女性層の支持を集めにくいのですが、色鉛筆画に見られるような自然体の視点が、技法を越えて表現されているのでしょう。
くせのない表現は、物足りなさを感じる人もいることは確かです。幅広い活動も焦点があって深みがでてくるので、これからの北野さんの進む方向に期待したいと思います。

日南田さんの「はじめまして」が、2位になりました。

夏のおひるね」が4位、「空があおいね・・・」が7位、「ほーほけきょ」が12位と、Yahooに公式サイト「ちょろぴの世界」が登録されたこともあり、全般的に票をのばしています。
サポーターも「ちょろぴ」と言うキャラクターを中心に、全国に広がりを見せて益々安定してきた感があります。
仕事が忙しくなっているようですが、絵本をめざして「ばんばって」いただきたいですね

※「ばんばる」と言うのは、日南田さんの「打ちまつがい」から出た造語。頑張るのように悲壮感がないのが特徴です。

開楽さんの「D公園にて」も3位となって、「ガマン大会」に続いてゼネラルイメージになりました。
開楽さんの作品も、女性層に受け入れられやすい表現ですが、北野さんと違って作家としての個性が明確なので、サポーターの幅はそれ程広くはないようです。

個性がはっきりしているので、社会に認知されれば展開しやすい反面、突破口を見つけるまで苦労するかも知れません。
力量からみれば、いつブレイクしてもおかしくない作家の一人だと思います。

宇多川さんの「Holly Snow」が初登場で5位に、「誘惑」が13位、「東の遙」が14位となりました。
「Holly Snow」はこれが描かれた時、モデルのネコのモロは元気でしたが、その後病気で亡くなってしまいました。
この作品は、そう言った事情で作家の「想い」が込められているような気がします。
作家の想いというものは、作品に力を与えるものです。また、作品から作家も力や啓示を受けるものですが、どうやら宇多川さんは、これからも益々ネコを描き続けることになりそうです。

佐藤さんの「顔のある風景 ニコリンネ」は、今回も連続して5位になりました。このままで行けば次回はゼネラルイメージに推薦されることになるでしょう。
また、初登場の「心に残る風景 晩秋のひと休み」は11位に、「お兄ちゃんの入学式」が16位に選ばれています。
最近はワークショップなど、積極的に行っておられますが、「顔のある風景」のような共通での作品作りがちょっと薄くなっているようです。
来年は、またBe.Tooで呼びかけて、新しい動きを見て行きたいですね


夜舟さんの「沈める睡り」が8位に入りました。
言葉にできない」がゼネラルイメージに選ばれて、次の動きが注目されていましたが、今回は珍しく若い男性層の支持も加わり、「沈める睡り」が浮上してきました。
他の作品は、ちょっと中休みと言ったところでしょうか?次回の結果が注目されます。


荒木さんの「柿の実食べよう」が、今回9位となりました。
荒木さんの「ニャーミィ」は、キュートでちょっとおしゃまなネコのキャラクターです

最近の傾向とは異なった独自の雰囲気を持っていますが、日常性とファンタジーの間でなかなか揺れ動いているようです。
そのポジションさえはっきりすれば、季節的なテーマでも年間を通した支持が集まることでしょう。
あともう少し、ニャーミィには頑張ってもらいたいですね。

高野さんの「フラワー」は、今回は10位となりました。
次の第70回の展示には、久しぶりの新作が登場しています。
世界観も見えてきて、技術的な部分が課題になっているようですが、それは描き続けることで自然に見えてくるのではないでしょうか。
ネットでは地域は関係ないと言えども、やはり都心と離れていると直接触れるものが少ないハンディはあると思いますが、あまり悩まないで、描くことを楽しまれるのが一番だと思います。


昨年の今頃は、Be.Tooの移転で落ち着かず、投票システムの切替もあって大変でした。
インターネットでの充実は、北から南まで会員の広がりとなりましたが、それを東京でどのように受けてゆくのか、積み残した課題も多く、来年はより大変な年になりそうです。


ベスト10外では、11位「心に残る風景 晩秋のひと休み」佐藤さん、12位「ほーほけきょ」日南田さん、13位「誘惑」、14位「東の遙」宇多川さん、15位「なあに」なおねこさん、16位「お兄ちゃんの入学式」佐藤さん、17位「デンスケ」北野さん、18位「mimosa」くりくりさん、19位「バラのひと」曽田さん、20位「まってよう」滝沢さんとなりました。

以上でした。


 ■作品及びclick!networkへのお問い合わせは、こちら
 
▲先頭に戻る