美術茶論

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ライブギャラリーBe.Too
第68回ベスト10発表

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2003年11月03日〜11月23日

ぺっこり夢 2003/11/03/〜2003/11/23投票順位 

順位
作品ナンバー
作品名
会員名
レイティング
展示数
選出数
1
0299-0026-08
 言葉にできない
 夜舟
13.4
15
11
2
0299-0030-01
 D公園にて  開楽 智治
10.5
24
10
3
0299-0036-04
 幻想メリーゴーランド  北野 玲
10.4
10
10
4
0199-0023-12
 誘惑  宇多川 友恵
10.2
1
1
5
0099-0002-120
 顔のある風景 ニコリンネ  佐藤 隆俊
8.0
15
8
6
0299-0050-01
 バラのひと  曽田 歩美
6.3
1
1
7
0199-0023-09
 東の遙  宇多川 友恵
6.2
3
3
8
0099-0037-29
 フラワー  高野 洋実
6.1
19
4
9
0299-0051-01
 mimosa  くりくり
5.4
1
1
10
0099-0009-68
 はじめまして  日南田 淳子
5.1
4
2

●○全体の動向○●


11月も末になると、さすがに冬の気配も強くなってきて、冷え込む日も増えてきました。

それでも昨年に比べれば、まだまだ暖かい気がします。
ギャラリーの作品でも、夏を題材にした作品が、継続してだ支持されており、季節感というものが薄くなっているのかも知れません。

今回の投票の男女比は1:3、女性層が中心の典型的な比率でした
男性層は若年層よりも年齢層が高い層が強く、ネットでの一面を表しているようです。

今回の特色は、新しい作品や会員による動きが目立ったことでしょう。
前回のTAKAさんの「アクアールド・シリーズ BUBBLE BALLOONS」に続き、夜舟さんの「言葉にできない」がゼネラルイメージとなり、開楽さんの「D公園にて」や北野さんの「幻想メリーゴーランド」も次回あたりに続きそうです

上位作品の常設展示への移行にともない、次の作品への動きがしばらくは激しくなると予想されますが、サポーターが支持していたのが作品だったのか、作家だったのかによって動きは大きく変わってゆくことでしょう。
いつも繰り返しているように、作家自身がどれだけそのことを理解しているかによって、サポーターの方々の反応も変わってきます。
支持してくださる方々へ応える気持ちがない場合は、それまで積み重ねてきたものも失ってしまうものですから、ゼネラルイメージになった後からが、作家としての真価が問われると言って良いかも知れません。
それをどう繋げてゆくか、click!networkとしても今企画中の課題でもあります。
来年は、年明けからいろいろと進めてゆくことになるでしょう。

次回はそれについて触れてゆきたいと思います。



●○個別作品の印象○●

夜舟さんの「言葉にできない」が、予想通り今回も1位でゼネラルイメージとなりました。
この作品だけでなく、夜舟さんの作品全般で注目すべきことは、かって男性が中心となっていたジャンルを、女性の視点で再構築していると言うことです。
この「言葉にできない」だけでなく、12位となった「さよなら」にも、その他の作品にも、背景に少女の性が描かれており、それに対して女性層の共感が支持となって集まっています。
筆で描かれた繊細な線と、抑えた色調の織りなす少女の世界の奥行きは、深く、男性には分からない「言葉にできない」世界へ繋がっているような気がします。
それとともに、「世界をとめて」のように、少女と対になった少年の世界も、女性の視点で捉えた作品も、また女性層の支持を集めていることも忘れてはいけません。

今はまだ、決してメジャーなジャンルではありませんが、確実に文化の表層に向かう流れとして、これからも注目し、応援してゆきたいと思います。

2位になった開楽さんの「D公園にて」は、次回は「ガマン大会」に続いてゼネラルイメージになることでしょう。
開楽さんの作品は、寓意性を示唆する不条理な世界が中心となっているためか、支持する方々の年齢層は高めになっています。
絵のタッチは優しく暖かみがあるので、やはり女性層に強く支持されていますが、男性層にも受け入れられているのが特徴でしょう。
作家としての個性が明確な故に、マーチャンダイジングにはのりにくい反面、うまく合わせることができれば幅の広い展開も可能なので、これからぜひ頑張っていただきたいものです。


今回3位の北野さんの「幻想メリーゴーランド」も、このまま行けば次回は最短でゼネラルイメージになりそうです。
北野さんの描かれる世界は幅が広く、「メリーゴーランド」シリーズでも、様々な世界が示されましたが、どうやら方向性は見えてきたようです。
ライフワークの色鉛筆画は、それぞれに個性があり、ジャンルとしてのまとまりは難しいのですが、続けることによって新しい広がりがまたそこに見えてくるのではないでしょうか。
12月9日から13日まで、click!network会員も参加している「ベーシック・アートセミナー展」を主催されるなど、積極的にワークショップをこなし、これからも新しいものを見せてくれることと思います。

宇多川さんの「誘惑」が初登場で4位に、「東の遙」は、今回は7位となりました。
この二つの作品は、描かれているテーマは昔なら男性層が対象とされる分野ですが、前回に続き支持層は女性が中心となっています。
少年漫画やアニメの世界でも、女性の支持が無視できなくなっていることや、ハリーポッターやロード・オブ・ザ・リングなどかっては少年向きと思われていたジャンルが、女性を中心に動いていることを考えると、これもまた時代にあった傾向なのかも知れません。
日本の消費行動は、女性が中心になって決まると言われてから久しいですが、過去の文化が男性中心だったことを考えると、もっと文化活動に女性が参加する余地が残されているので、この流れは大きくなることでしょう。

佐藤さんの「顔のある風景 ニコリンネ」は今回は5位となりました。
お兄ちゃんの入学式」が13位につけていますが、「夕暮れの石神井川」が残念ながら展示から外されてしまいました。
佐藤さんの作品は、連作やストーリー性のあるものが多く、ギャラリーの展示の仕方がそれをフォローできない面も確かにあります。
ただ、どのような形であっても、作品の「市場性」を問うならば、同一条件で見ていただくことが必要なことも確かなこと。

それを乗り越えて、ゼネラルイメージ最多選出の実績を積み重ねてきた佐藤さんのことですから、これからの新作を期待いたしましょう。
「顔のある風景ニコリンネ」も、そろそろ次のゼネラルイメージが見えてきたようですね。

曽田さんの「バラのひと」が初登場で6位に入りました。
色鉛筆で描かれたこの作品は、画材の持つ軽さにも関わらず、丁寧に描き込まれており、よく雰囲気を醸し出しています。
初回だけでは分かりませんが、このジャンルにしては男性層の支持が強く、今後の動きが注目されます。
作家としての傾向は、できるだけ多くの作品をゲストに見ていただくことによって、明らかになってきますので、これからの活躍を期待したいと思います。


高野さんの「フラワー」は、安定した動きで今回は8位となりました。
独特の世界を持っている高野さんは、北海道で周囲に発表の場がなく、Be.Tooで作品を重ねることで、少しずつファン層を獲得してきました。
ネットの世界では、住んでいる地域の壁がなくなったとは言え、仕事として捉えるとやはり東京が中心に動いている現実は否めません。
Be.Tooは東京の恵比寿からネットへ広がり、このような成果を上げ始めていますが、都心から離れている会員にどのような形で実績に結びつけるか。

来年からその課題に対する動きを具体的に立ち上げてゆきたいと思います。

くりくりさんの「mimosa」が、これも初登場で9位となりました。
この作品は、ジャンルとしては写真になりますが、Painterを使って加工し、イラストっぽい作品に仕上がっています

くりくりさんは佐藤さんのワークショップに参加し、写真の技術を学んでいますが、どう撮るかという課題とともに、どう見せるかという課題にも積極的に取り組んでいるようです。
ライフワークとして家族、こどもたちがあるようですので、その成長が楽しみですね。

今回の10位は日南田さんの「はじめまして」になりました。

その他の作品では「夏のおひるね」が11位、「空があおいね・・・」が16位、「ほーほけきょ」が20位につけています。
ちょろぴのファンはギャラリーにとどまらず、大きな広がりを持ち始めていますが、商品を通じて新たに加わった方々が必ずしもギャラリーへ参加されているわけではないため、その結果が投票に反映されていないきらいがあります。
11月7日には、Yahooに公式サイト「ちょろぴの世界」が登録されたこともあり、1日に5000件程度のヒットがありました。

これは、ある程度予測されていたことですが、急激な広がりは持続性がないため、ギャラリーのサポーターの地道な応援こそ、作家を育てるためには一番の力であり、これからも様子を見てゆきたいと思います。

ベスト10外では、11位「夏のおひるね」日南田さん、12位「さよなら」夜舟さん、13位「お兄ちゃんの入学式」佐藤さん、14位「森のなかま いっしょにあそぼ」吉川さん、15位「なあに」なおねこさん、16位「空があおいね・・・」日南田さん、17位「柿の実食べよう」荒木さん、18位「おかあさんあそぼ?」蕭さん、19位「青空鉄球」ホソイさん、20位「ほーほけきょ」日南田さんとなりました。

以上でした。


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