昭和は、良くも悪くも、現代日本の礎となった時代でした。 私たちが、何かを見失った時に戻るべき原点が、ここにはあるように思われます。 世の中の全ての仕組みが、触れることができ、理解することができる、と誰もが信じることのできた時代。 それは日本の社会にとっても幸せな少年時代だったのではないでしょうか。 現実の社会で、先が見えなくなったり、行き詰まったときには、思い切って気分を変えて、原点に戻ってみることが大切だと思うのです。
自分自身を知ること、求めること、それこそ創造の原点です。自らの社会の文化を知らなければ、他の国々から認められる創作活動もできません。昭和夢時代は、戻るのではなく進み続けるための基点を目指
しています。

夢之介拝

美術茶論/click!networkからの御挨拶
     新 世 紀、明 け ま し て お め で と う ご ざ い ま す。

遙かなる未来であった21世紀、2001年がやってきました。
夢と希望と、輝かしい技術が約束されていたはずの未来は、現実のものとなった時、長びく不況と進まぬ構造改革によって閉塞感ただよう時代となりました。
2000年には、インターネットの環境で日本は韓国にも抜かれ、アジアでも後進国になろうとしています。
日本のお家芸として誇っていた生産技術は、コスト至上主義から来る信頼性の低下をまねき、1970〜80年代の米国のような問題点が顕在化してきました。
アウトソーシングは、低価格で高品質のものを消費者にもたらしましたが、韓国や中国、タイなどへ技術が流出し国内の空洞化が加速されています。

現在、日本で世界に誇る文化は生産技術ではなく、ゲーム、アニメ、まんが等の少年少女の文化ですが、国内においては従来の価値基準にそぐわないが故に、マイナーな文化として、表舞台で語られることがありません。
本来文化とは、歌舞伎や浮世絵のように猥雑で低俗なものから、無秩序に発生するものです。
それらは量的に広がりを持つようになると、洗練され、管理されるようになって、お上の庇護の中に埋没することにより形骸化して行くのが常でした。
いわゆる官の管理によって、新たな発展の目を有職故実によって摘み取られて行くのです。
それは、そのまま現在の日本の状況を、端的に示しているのではないでしょうか。

国内で認知されることなく、世界に広がったゲーム、アニメ等の少年文化は、産業としての地位を確立しつつありますが、それ故生産の海外移転による空洞化が進んでいます。
今や、アジアで新しいイメージを持ったクリエイターが輩出されれば、日本に残されたものは、その中でもマイナーな少女文化だけになるのでしょうか。

21世紀は、生産技術が国際的に限界効用に達し、差別化としての知的所有権が経済を支えると考えられています。
にもかかわらず、日本の社会では知的所有権物を生産する社会的なシステムが、未だ存在しないのです。

中でも著作権は強力な力を持っていますが、日本ではこの知識を持っている人間はほんの一握りであり、行政ですらこれを認知していないのが現状です。
例えば我が国では「ぬいぐるみ」に対し、著作権を認めません。創造的行為の所産である「作品」が、創造性を認められていないのです。

また、クリエイター自身も、社会の中に組み込まれたまま、国際的な知識を身につけようともしていません。
恐らく、これからの国の経済力を決定するであろうクリエイターたちが、力を付けない限り、米国の予想したとおり2015年には、日本は中国、インドに経済的な地位を奪われるのでしょう。

しかし、一人のクリエイターが、全てを変えてしまう可能性もあるのです。
街の中から、人々の支持で生まれたものであるなら、新しい文化を生み出す力があると思うのです。
音楽の世界では、モーニング娘に示されているように、その動きははっきりしています。彼女たちがメディアによって作られたと言う指摘は、正にその通りなのであって、大衆が支えていると言う事実こそ重要なのでは無いでしょうか。
そして、そのシステムはライブハウスで成功したシステムを広げたものに過ぎません。

click!networkは、Be.Tooという拠点をもって、イメージを描くクリエイター達のライブハウスを目指して設立されました。
もしそれが私一人の夢に過ぎないのであれば、それは単なる夢で終わるのでしょう。
恐らく二人いれば、続けることができる。三人いれば、可能性が開けるかも知れません。

2001年凸版印刷は、サンリオとの提携に加え、アンフィニ・コリア・ジャパンと提携し、韓国の人気キャラクターのライセンスビジネスを開始する。まず最初に李聖鎬(イ・ソンホ)氏のCGキャラクターをとりあげ、日本企業に売り込みをはかる。
(日経新聞2000年12月24日)

国際化の波は止めることはできません。


2001年01月01日

                               夢之介